オーディオ機器の世界では、音質の追求は果てしなく続いています。その中でも「平面駆動型」と呼ばれる技術は、オーディオファンの間で高い評価を得ている注目の技術です。一般的なダイナミック型ドライバーとは異なり、平面駆動型は振動板全体に均一な磁気駆動力を与えることで、低歪で位相乱れの少ない高精度な音響再生を実現します。
かつては高級オーディオ機器に限られていた平面駆動型技術ですが、近年は技術革新により、より手の届きやすい価格帯の製品も増えてきました。今回は、そんな平面駆動型のヘッドホンとイヤホンの中から、特に注目すべき10製品をご紹介します。
目次
- 平面駆動型とは? 従来のダイナミック型との違い
- ダイナミック型の仕組み
- 平面駆動型の仕組み
- 平面駆動型ヘッドホン・イヤホンの選び方
- 重視すべきポイント
- おすすめ平面駆動型ヘッドホン・イヤホン10選
- 1. Edifier STAX SPIRIT S5
- 2. HIFIMAN Edition XS
- 3. SIVGA P-Ⅱ
- 4. FOSTEX T50RPmk4g
- 5. MoonDrop – PARA 100mm
- 6. SIVGA P2 PRO
- 7. Audeze MM-100
- 8. HiFiMAN SUNDARA Closed-Back
- 9. BQEYZ Frost
- 10. LETSHUOER DZ4
- 平面駆動型の最新トレンドと今後の展望
- 技術の進化
- 今後の展望
- まとめ
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平面駆動型とは? 従来のダイナミック型との違い
平面駆動型ヘッドホン・イヤホンの魅力を理解するには、まず従来のダイナミック型との違いを知ることが重要です。
ダイナミック型の仕組み
- コーン型の振動板の一部(中心部)にコイルが取り付けられている
- 振動板に部分的な駆動力を与えて音を生成
- 構造がシンプルで量産しやすく、一般的なヘッドホン・イヤホンに多く採用
平面駆動型の仕組み
- 薄い平面振動板全体に均一な磁気駆動力を与える
- 振動板全体が均一に動くため、低歪みで位相の乱れが少ない
- 広い周波数帯域を高精度に再現可能
- 空気感や音場の広がりに優れた表現が可能
平面駆動型は特に以下のような音楽ジャンルやシーンで真価を発揮します:
- クラシック音楽など、楽器の空間的配置や響きが重要な音楽
- ボーカル重視の楽曲(繊細な息づかいや唇の動きまで感じられる)
- 緻密な音の重なりが特徴的なジャズや室内楽
- 広い音場感を活かしたオーケストラ作品
平面駆動型ヘッドホン・イヤホンの選び方
重視すべきポイント
- ドライバーサイズと技術
- 平面駆動型は振動板のサイズが大きいほど豊かな低音が出る傾向
- 振動板素材や磁気回路の構造にも注目
- 開放型か密閉型か
- 開放型:音場が広く自然な音響体験、外部の音が聞こえる、音漏れがある
- 密閉型:遮音性が高く、低音の量感が増す傾向、長時間使用で耳が蒸れる場合も
- 駆動のしやすさ(インピーダンス/感度)
- 高インピーダンス製品はヘッドホンアンプと組み合わせると本領を発揮
- 低インピーダンス・高感度モデルはスマートフォンなどでも駆動可能
- 有線/無線の選択
- 無線:利便性が高いが、音質やバッテリー容量に注意
- 有線:高音質だが、ケーブルの質や取り回しのしやすさをチェック
- 装着感と重量
- 平面駆動型は従来、重い製品が多かったが近年は軽量化が進展
- 長時間使用するなら、イヤーパッドの素材やヘッドバンドの調整範囲をチェック
おすすめ平面駆動型ヘッドホン・イヤホン10選
1. Edifier STAX SPIRIT S5

特徴:
- 平面磁界型ドライバー搭載のBluetooth対応ヘッドホン
- 最大80時間の連続再生が可能な大容量バッテリー内蔵
- 専用アプリ「EDIFIER ConneX」でイコライザーのカスタマイズが可能
- Snapdragon Sound、LDAC、LHDCなど多彩なコーデックに対応
- クーリングメッシュイヤーパッド採用で長時間使用でも快適
こんな人におすすめ:
ワイヤレスの利便性と高音質を両立させたい方に最適。長時間のリスニングも可能な大容量バッテリーと、多彩なコーデック対応で様々な音源を高音質で楽しめます。通勤や旅行中にも高音質を諦めたくないオーディオファンに。
2. HIFIMAN Edition XS

特徴:
- ステルスマグネット技術採用で音波干渉を大幅に低減
- NEOスーパーナノダイアフラム搭載で高速レスポンスを実現
- 人間工学に基づいた軽量ヘッドバンド設計
- 広く自然なサウンドステージで音楽の深みを再現
- 着脱可能な3.5mmケーブル標準装備
こんな人におすすめ:
ハイエンドサウンドをエントリーモデルの価格帯で体験したい方に最適。HIFIMANの先進技術を惜しみなく投入した本機は、特に広い音場感と自然な音の再現性に優れています。自宅でじっくり音楽を楽しみたいオーディオ愛好家向け。
3. SIVGA P-Ⅱ

特徴:
- 97mm×76mmの超ナノ両面磁気平面ダイアフラムユニット
- ブラックウォールナット天然木製ハウジング採用
- バランスの取れたサウンドシグネチャーと豊かなレイヤー感
- 高プロテインレザー製ヘッドバンドとイヤーパッドで快適な装着感
- 12ヶ月保証サービス付き
こんな人におすすめ:
自然な音質と高級感のあるデザインを両立させたモデルを求める方に。天然木材を使用したハウジングは、見た目の美しさだけでなく音響特性にも好影響を与えています。温かみのある音色を好むオーディオファンにぴったり。
4. FOSTEX T50RPmk4g

特徴:
- 50年の歴史を持つRPテクノロジー(Regular Phase)の最新モデル
- フォステクス独自開発の全面駆動型平面振動板ドライバー搭載
- 圧倒的なレスポンスによる優れた定位感と分離感
- セミオープン構造によるナチュラルな音場
- ゲーミング用途にも最適な高解像度サウンド
こんな人におすすめ:
日本メーカーの確かな技術力による高精度なサウンドを求める方に。特に定位感と分離感に優れているため、ゲーミングや映画鑑賞など、音の位置情報が重要なコンテンツを楽しむ方にも適しています。長年の進化を遂げた安定した音質が魅力です。
5. MoonDrop – PARA 100mm

特徴:
- 直径100mmの超大型振動板採用
- FDT全面駆動技術により静電型ヘッドホンに相当する低い分割振動を実現
- 高減衰フレキシブル複合素材による自然な音色
- 銀エッチング回路を再設計し、振動板の平滑性を向上
- 4.4mm 5極バランスケーブル付属
こんな人におすすめ:
究極の平面駆動型体験を求めるオーディオマニアに。100mmの大型振動板と最新のFDT技術により、従来の平面駆動型をはるかに超える高音質を実現しています。ヘッドホンアンプとの組み合わせで、さらに豊かな音楽表現を楽しむことができます。
6. SIVGA P2 PRO

特徴:
- 業界初の半導体28nmプロセスによる深紫外リソグラフィー機構製サファイア振動回路
- レッドオーク木製ハウジングとステンレススチールメッシュの高級デザイン
- 6N OOCケーブル採用で音声伝送の純度と安定性を確保
- 交換可能なHi-Fiケーブルで音響効果をカスタマイズ可能
- 12ヶ月保証サービス付き
こんな人におすすめ:
最先端の技術と伝統的な木工技術の融合を求める方に。サファイア振動回路という革新的な技術により、平面駆動型ヘッドホンにさらなる音響特性の向上をもたらしています。視覚と聴覚の両方で満足できる贅沢なリスニング体験を求める方に最適。
7. Audeze MM-100

特徴:
- Audezeの平面駆動型技術をエントリーモデルに凝縮
- 比類ない精度と超低歪を実現する新設計平面駆動型ドライバー
- フラッグシップモデルLCD-5と同等のウェーブガイド、マグネットアレイ採用
- 左右どちらのイヤーカップにも装着可能な片出しタイプケーブル
- フラットに折りたたみ可能で持ち運びに便利
こんな人におすすめ:
プロフェッショナルが認めるAudezeサウンドをより手に届きやすい価格で体験したい方に。スタジオモニターのような正確な音質再現を追求しており、クリエイティブワークや精密な音楽鑑賞に最適です。ポータブル設計も魅力的なポイントです。
8. HiFiMAN SUNDARA Closed-Back

特徴:
- ステルスマグネット技術で音質を損なう反射や回折を大幅に低減
- 一般的なヘッドフォンより80%薄いNEOスーパーナノダイアフラム採用
- エレガントなブナ材イヤーカップで自然な美しさと音響特性を両立
- クラシック人間工学ヘッドバンドで快適な装着感
- 密閉型でありながら広い音場感を実現
こんな人におすすめ:
平面駆動型の魅力を遮音性の高い環境で楽しみたい方に。一般的に開放型が多い平面駆動型ヘッドホンの中で、密閉型ならではの低音の厚みと遮音性を兼ね備えたモデルです。オフィスや公共の場でも使いやすく、多様なシーンで活躍します。
9. BQEYZ Frost

特徴:
- ダイナミックドライバー+マイクロ平面駆動ドライバーのハイブリッド構成
- サファイアグラスフェイスプレートによる美しいデザイン
- バランスチューニングで自然なボーカル音と伸びのある高域特性
- 単結晶銅銀メッキ混合同軸ケーブル付属
- 着脱式2Pin 0.78mmコネクタ採用
こんな人におすすめ:
平面駆動型技術をイヤホンで体験したい方に。ダイナミックドライバーとの組み合わせにより、平面駆動型の繊細な高域表現と、ダイナミック型のパワフルな低域を両立しています。美しいデザインと高音質を求めるオーディオ愛好家におすすめ。
10. LETSHUOER DZ4

特徴:
- 3基6mm全帯域チタン振動板ダイナミックドライバー+パッシブフィルタモジュール
- 高精度な一体成型3Dプリント製法による安定した品質
- セミオープン構造で自然な音場と長時間の快適な装着感
- 高純度銅銀メッキケーブルで音の立体感と明瞭感を向上
- 様々なニーズに対応できる高い適応性
こんな人におすすめ:
コンパクトなイヤホンで高品質なサウンドを求める方に。独自のドライバー構成と音響設計により、平面駆動型に近い広がりのある音場と定位感を実現しています。多目的に使用できる汎用性の高さも魅力です。
平面駆動型の最新トレンドと今後の展望
技術の進化
平面駆動型ヘッドホン・イヤホンの世界では、近年いくつかの重要な技術革新が起きています:
- ナノテクノロジーの応用
- 超薄型振動板の開発により、応答速度と解像度が向上
- より軽量で効率的なドライバーの実現
- マグネット構造の革新
- ステルスマグネット技術による音波干渉の低減
- 磁気回路の効率化によるパワー効率の向上
- 製造技術の進化
- 3Dプリント技術の活用による複雑な音響設計の実現
- 半導体製造技術の応用によるミクロレベルでの精密加工
- 無線技術との融合
- 高音質コーデック(LDAC、aptX HD、LHDCなど)の対応拡大
- 低消費電力設計による長時間再生の実現
今後の展望
平面駆動型オーディオ機器の将来については、以下のような発展が期待されています:
- さらなる小型・軽量化
- より小型のイヤホンでも平面駆動型技術が実装される可能性
- 軽量素材の採用による長時間装着の快適性向上
- ハイブリッド技術の発展
- 平面駆動型とダイナミック型、BA型などの異なるドライバーの長所を組み合わせた製品の増加
- 骨伝導技術との組み合わせによる新しいリスニング体験
- デジタル技術との統合
- AIによる音場最適化やパーソナライズ機能の搭載
- 空間オーディオ技術との組み合わせによる没入感の向上
- 価格帯の拡大
- 製造技術の進化により、より手頃な価格帯の製品が増加
- 同時に、最先端技術を投入したプレミアムモデルの多様化
まとめ
平面駆動型ヘッドホン・イヤホンは、その優れた音響特性から多くのオーディオファンを魅了し続けています。従来は高価格帯に限られていたこの技術ですが、近年の技術革新により、様々な価格帯や形状の製品が登場し、より多くの音楽愛好家が平面駆動型の魅力を体験できるようになりました。
今回ご紹介した10製品は、それぞれに独自の特徴を持ち、異なるニーズに応えることができます。自分の音楽の楽しみ方や使用環境に合わせて、最適なモデルを選ぶことが重要です。
平面駆動型ヘッドホン・イヤホンは、単なるオーディオ機器ではなく、音楽との新しい向き合い方を提案してくれるものです。これまで気づかなかった音の細部や、楽曲に込められた繊細な表現に触れる体験は、音楽の楽しみ方を大きく変えてくれるでしょう。
最新の技術を取り入れながらも、本質的な「音を正確に再現する」という使命に忠実な平面駆動型製品。音楽をより深く、より豊かに楽しみたい方は、ぜひ一度その魅力に触れてみてください。
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