携帯性とゲーミング性能を両立させた「ポータブルゲーミングPC」市場が急速に拡大しています。Steam Deckの成功を受けて各メーカーから次々と新モデルが登場し、2025年はさらに高性能化と多様化が進んでいます。今回は、最新のポータブルゲーミングPC 5機種を徹底比較し、それぞれの特徴や用途別のおすすめをご紹介します。
目次
ポータブルゲーミングPCとは?
ポータブルゲーミングPCとは、ゲームプレイに必要な性能を持ちながらも、持ち運びが可能なように小型化された Windows PCです。7インチ前後の画面サイズ、コントローラー一体型の設計、数時間のバッテリー駆動が特徴で、外出先でもPC用のゲームを楽しめます。さらに、一般的なPCとしての機能も備えているため、様々な用途に活用できる点が魅力です。
選び方のポイント
ポータブルゲーミングPCを選ぶ際には、以下のポイントをチェックすると良いでしょう。
1. プロセッサー性能
プロセッサーはゲーム体験に直結する重要な要素です。現在は主に以下の3種類が主流です。
- AMD Ryzen Zシリーズ:ROG Allyなどに採用されている専用APU
- AMD Ryzen 7000/8000シリーズ:ミドルレンジ~ハイエンドモデルで採用
- Intel Core Ultra:最新のインテルプロセッサー(MSI Clawに採用)
2. メモリ容量とストレージ
メモリは最低16GBが望ましく、より快適に利用するなら24GB以上あると安心です。ストレージは大容量のゲームを複数インストールすることを考慮し、最低512GB、できれば1TB以上が理想的です。
3. 画面性能
ほとんどのモデルが7インチのフルHD画面を採用していますが、リフレッシュレートが60Hzか120Hzかで体験が大きく変わります。高リフレッシュレートモデルならアクションゲームでも滑らかな映像が楽しめます。
4. バッテリー駆動時間
ポータブル機器として重要なのはバッテリー駆動時間です。ただし、カタログ値はあくまで目安で、実際のゲームプレイでは2~3時間程度と考えておくのが無難です。
5. 冷却性能と静音性
高性能なコンポーネントを小型筐体に詰め込むため、冷却設計の良し悪しが重要です。長時間のゲームプレイでも安定して動作し、かつ騒音が気にならないモデルが理想的です。
最新ポータブルゲーミングPC 5機種比較
1. ASUS ROG Ally X
主な特長:
- AMD Ryzen Z1 Extreme プロセッサー搭載
- 24GB LPDDR5X-7500 メモリ(ROG Allyの1.5倍)
- 1TB NVMe SSD(PCI Express 4.0 x4接続)
- 7インチフルHD 120Hz液晶ディスプレイ
- バッテリー大容量化による駆動時間向上
- USB4ポート搭載で外部GPU接続も可能
おすすめポイント:
大容量バッテリーと強化された冷却システムにより、従来モデルの課題だった短いバッテリー駆動時間と熱問題を大幅に改善しています。メモリも24GBと増量され、マルチタスクやより重いゲームも快適に動作させることが可能です。ROGシリーズならではの豊富なゲーミング支援機能と合わせて、現時点でもっともバランスの取れたハイエンドモデルといえるでしょう。
こんな人におすすめ:
長時間のゲームプレイを重視する方や、最新のAAA級タイトルを外出先でも快適にプレイしたい方に最適です。また、自宅では外部GPUを接続してデスクトップ級の性能で遊びたいという方にもおすすめです。
2. ASUS ROG Ally
主な特長:
- AMD Ryzen Z1 Extreme プロセッサー搭載
- 16GB LPDDR5-6400 メモリ
- 512GB NVMe SSD(PCI Express 4.0 x4接続)
- 7インチフルHD 120Hz液晶ディスプレイ
- 608gの軽量ボディ
- 指紋認証対応
おすすめポイント:
ポータブルゲーミングPC市場に大きな影響を与えた先駆的モデルで、エントリーモデルながら120Hzディスプレイと強力なRyzen Z1 Extreme APUを搭載。軽量かつコンパクトな設計で、携帯性を重視する方に適しています。現在はX版の登場により価格も抑えめになり、コストパフォーマンスが高いモデルとなっています。
こんな人におすすめ:
初めてのポータブルゲーミングPCとして検討している方や、予算を抑えつつも十分な性能を求める方に適しています。特に軽量なボディは通勤・通学の携帯用として優れています。
3. MSI Claw
主な特長:
- Intel Core Ultra 7 155H プロセッサー
- インテル Arc グラフィックス
- 16GBメモリと1TB NVMe SSD
- 7インチフルHD 120Hz液晶ディスプレイ
- Thunderbolt 4 対応
- 人間工学に基づいたグリップデザイン
おすすめポイント:
インテルプラットフォームを採用した数少ないモデルで、Intel独自の最適化が施されたゲームでは高いパフォーマンスを発揮します。特にThunderbolt 4対応により、拡張性が高いのが特徴。外部機器との接続や周辺機器の拡張性を重視する方には魅力的なモデルです。
こんな人におすすめ:
Intelプロセッサーに最適化されたアプリケーションを多用する方や、将来的な拡張性を重視する方におすすめです。また、MSIのデザイン性や独自機能に魅力を感じる方にも適しています。
4. GPD WIN Mini 2025
主な特長:
- AMD RyzenAI9 HX370 プロセッサー
- 32GB LPDDR5x-7500MT/s メモリ
- 2TB NVMe SSD(PCI Express 4.0 x4接続)
- 7インチLTPS液晶(60/120Hz切替可能)
- 物理キーボード搭載のUMPC形状
- 555gと軽量
おすすめポイント:
ポータブルゲーミングPCでありながら、物理キーボードを搭載したユニークなデザイン。最新のRyzenAI9 HX370と大容量メモリ・ストレージを組み合わせた超ハイエンド仕様で、ゲームだけでなく生産性アプリケーションも快適に動作します。キーボード搭載により、ゲーマーだけでなくモバイルワーカーにも適しています。
こんな人におすすめ:
ゲームと仕事の両方に使いたい方や、トップクラスの性能を求めるユーザーに最適です。特に外出先での文書作成やプログラミングなど、キーボード入力を多用する場合に真価を発揮します。
5. AYANEO FLIP DS
主な特長:
- AMD Ryzen 7 8840U プロセッサー
- 64GBメモリと2TB SSD(超大容量)
- メイン7インチ 120Hzディスプレイ
- サブ3.5インチディスプレイ搭載
- クラムシェル型の独自デザイン
- 強化された冷却システム(TDP 28W対応)
おすすめポイント:
クラムシェル型デザインとサブディスプレイを組み合わせた革新的なモデル。メインディスプレイでゲームをプレイしながら、サブディスプレイでチャットやブラウジングといったマルチタスクが可能です。64GBという圧倒的なメモリ容量を誇り、将来的にも長く使えるスペックを持っています。
こんな人におすすめ:
マルチタスクを重視するユーザーや、ゲームプレイ中に攻略情報を確認したり、配信関連の操作をしたりする方に最適です。また、将来のゲーム要件を見据えて、余裕を持ったスペックを求める方にもおすすめです。
用途別おすすめモデル
コストパフォーマンス重視なら
ASUS ROG Ally
エントリーモデルながら120Hzディスプレイと強力なRyzen Z1 Extremeを搭載し、多くのゲームを快適に楽しめます。
最高の性能を求めるなら
GPD WIN Mini 2025 または AYANEO FLIP DS
最新のRyzenプロセッサーと大容量メモリを搭載した両モデルは、どんな用途でも余裕の性能を発揮します。
バッテリー持続時間を重視するなら
ASUS ROG Ally X
大容量バッテリーと最適化されたシステムにより、ポータブルゲーミングPCとしては優れた駆動時間を実現しています。
ゲームと仕事の両立なら
GPD WIN Mini 2025
物理キーボード搭載により、ゲーム以外の用途でも使いやすいデザインとなっています。
マルチタスクを重視するなら
AYANEO FLIP DS
デュアルディスプレイ設計により、ゲームをプレイしながら別のアプリを操作できます。
ポータブルゲーミングPCのメリット・デメリット
メリット
- 場所を選ばずにPC用ゲームを楽しめる
- Steam、Epic Games Store、Xbox Game Passなど様々なプラットフォームのゲームをプレイ可能
- 一般的なPC用途(インターネット、文書作成など)にも使用できる
- 据え置き型ゲーミングPCと比較して省スペースで電力消費も少ない
デメリット
- 据え置き型ゲーミングPCと比較すると性能は劣る
- バッテリー駆動時間が短い(特に高負荷ゲーム時)
- 小型であるため放熱や熱問題が生じやすい
- 基本的に後からのアップグレードが難しい
まとめ
ポータブルゲーミングPC市場は急速に成長し、各メーカーから特色あるモデルが続々と登場しています。ROG Ally Xのようなバランスの取れたモデルから、GPD WIN Miniのキーボード搭載モデル、AYANEO FLIPのデュアルディスプレイモデルまで、用途や好みに合わせた選択肢が広がっています。
あくまでもポータブル機器であるため、据え置き型ゲーミングPCと比較すると性能面での制約はありますが、外出先でもPC用ゲームを楽しめるという新しい体験を提供してくれます。バッテリー駆動時間や熱問題など課題もありますが、技術の進歩とともに今後さらなる改善が期待できるでしょう。
自分のライフスタイルや用途に合わせて最適なモデルを選び、いつでもどこでもPC用ゲームを楽しめる環境を手に入れてみてはいかがでしょうか。